2008
お仕置き・49
第二部・琴音・8を先に読む
★琴音・17★
「河野のお家では、お嫁さんはお尻を叩かれるんだよ。」
そんな生活が始まって三か月が経とうとしていた。琴音はあれから、二度程、明子にお尻を叩かれた。二度目からの、明子のお仕置きは、厳しくはあるが、決められた数をきっちりと打つもので、分かってしまえば、まだ耐えるのも楽だった。何よりも、明子は、気まぐれな暴君でも、嫌味で厳しい姑でもなく、河野の嫁として「お尻を打たれる」事を覚えさせるためにだけお仕置きをしているようすだったので、自分の立ち居振る舞いにびくびくする必要はなかった。
もちろん、夫である智也も機会を捉えては琴音を膝の上に乗せたがった。だが、いつの間にか「お仕置き」は、夫婦のセックスのスパイスのように、甘やかな時間の前戯のように位置づけられていた。
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不思議な事に、乾いて大きな智也の手で規則正しくお尻を叩かれていると、痛みよりも彼に甘えたい気持ちが湧き上がってくる。恥ずかしさは相変わらずだけど、夫の「お仕置き」が、怒った事から来る否定的な気持ちから来ているわけではない事が分かってくると、それに応える事がどこか満足で安心した気持ちにつながっていた。
智也の膝の上へ引き寄せられる時に、形ばかりの抵抗や、哀願や、神妙なお説教を訊きながらの反省は、許される事を前提にした、儀式だった。通過することで、自分が甘やかされ、すっぽりと包まれて行くのが分かる。つらい気持ちも恥ずかしさも、涙が全部洗い流してくれて、終わった後、智也の胸でゆすってもらいながら泣くのはいい気分だった。
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なにもなく、ただ、普段のセックスの合間にさえ、智也は琴音のお尻を優しく打つのが常だった。軽く、強く・・・ゆっくりと、追い上げるように。息を切らし、絶え絶えのかすれた悲鳴をもらしながらも、さほど痛くはないそれが、自分の快感に直結した場所へ確実に響く事を、琴音も認めざるを得なかった。口に出して、言う事はなかったけれど・・・。
琴音の身体は、その刺激に敏感になってきた。「お仕置き」という言葉が魔法のように、琴音を捉える。愛されている事、認められている事、許されている事。
与えられるものを受け取っているだけの琴音はまだ何も分かっていなかったのだけれど。
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厳しくお仕置きを受けていたはずなのに、いつの間にか琴音の中で「お仕置き」の質が変化し始めていた。琴音は、嫁いできた嫁と云うよりも、最初からそこにいた娘のように、なんの惑いもなく、何も考えず、ぽったりと、河野の家に落ち着いてしまっていた。
最初の頃はきちんとこなしていた家事や、夫への挨拶などもだんだんと緩みがちになり、娘時代のようにコロコロと何も考えずに笑って過ごしてしまっていた。そして、それが、留守がちの叔父の目にとまってしまうのは当然の成り行きだった。毎日ではなく、たまにしか会わなかっただけに、琴音がだんだん緩んで行くのが叔父にははっきりと見えていたのだった。
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「琴音さん、夕食の片づけが終わったら、私の部屋へ来てくれないか?」
そう叔父が、ほほ笑みながら言った時、叔母がさっと青ざめこわばったのに気がついて琴音は首をかしげた。どうふるまったらいいのか、叔母の方をすがるように見、そして、ほほ笑む叔父を見つめる。交互に視線をうつしてみても、固まったままうつむいている叔母も、やさしく微笑んでいる叔父も、何も言おうとはしなかった。
智也が出張で家にいない夜でもあったために、相談する相手もいない。お皿を皿洗い機にセットしながら、琴音は、不安げにあたりを見回してみる。椅子に座ってグラスを磨いている、叔母の背中は相変わらずこわばったままだった。
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叔父の部屋へ行けば・・・・
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お仕置きが待っているのに違いない。恐ろしさと恥ずかしさが足もとから這い上って来る。叔母は何と言っても叔母であったし、同性の安心感もあった。
それに、どうして、こんなふうに叔母は緊張してるのだろう?分からないけれど・・・もしかしたら、もしかしたら、その事について、叔父は叔母をもお仕置きするのではないのかしら?その想像は、琴音の胸をどきどきさせ、そして、身体を熱くさせた。そうである事に、琴音は驚きながらも、自分が「お仕置き」について、もう河野の家にお嫁に来た時とは、違った感覚を持ち始めている事に気が付いていた。
続く・・・




























